Ultimate Justice 第14話 〜燃える宇宙〜
2. war front

EP0044年6月16日 地球軌道ステーション403「ジュダ」 総合司令部

 戦闘が突然止んだのは、丁度デス・ロックスと、URESと外惑星連邦による同盟軍との戦闘が始って12時間経過したときだった。
 圧倒的に優勢であったにも関わらず、デス・ロックスのMS部隊は現れた時と同じように、忽然と姿を消したのであった。それは、地球圏に僅かに現れたデス・ロックスの艦艇も同じであった。

 そんな状況を茫然と見つめる事しか出来ない同盟軍首脳たちの前に、再びデス・ロックスの首領であるエスティン・シャアの通信が送られてきた。巨大スクリーンに再び、金髪のシャアの顔が映し出される。

『ご機嫌いかがですか?同盟軍の皆さん?』
「何か御用かね?エスティン・シャア?」

 シャアに返事をしたのは、ローセルト・ライネルだった。

『ライネル大統領、そして、各国の首脳さんたちも、私たちデス・ロックスにかなわないことは、先程の偵察隊との戦闘で、十二分にご理解頂けたと思います。今、降伏して下されば、皆さんの生命は保証しましょう。どうです?』

「貴様ら外宇宙人に降伏などするものか!」

 イナダが横から叫んだ。その声に、わざとらしく驚いた表情をシャアは見せたが、すぐに満面の笑みを浮かべ言い放った。

『それでは、地球圏から消えてもらいましょう』

 その言葉を最後に、通信は一方的に途絶えた。

「今のうちに、第1防衛ラインを再建しろ」

 シール・グリーン将軍はそう指示し、イナダと共に司令室を去った。残されたリナ・ジュミリン、リュウ・ドマスティー、ローセルト・ライネルは、イナダとグリーン将軍が去っていくのを、不思議そうに見つめたが、特別に何かおかしいとは思わなかった。

 次の戦闘が始るまでの時間に、同盟軍は何とか崩壊しかけた戦線を再建する事が出来た。再建したといっても、失った戦力の補充は半分しかする事は出来なかったが。兵士にとっても、束の間の休息が与えられたことは、大きかったが、本当に心身を休める事など到底出来るわけなかった。

「次に来るのが、本当の本隊か・・・」

 ドマスティーが、絶望に満ちた声で小さく呟いたのを、リナは聞き逃さなかった。確かに、この状況で希望を持てという方が、おかしいのかもしれない。何故なら、シャアの言う事が真実なら、偵察部隊相手に防衛ラインが崩壊しかけたからである。


EP0044年6月17日 第1防衛ライン

「空間の歪みを確認!おそらく、敵本隊です」

 オペレーターがそう告げると、前線司令部にいる誰もが息を呑んでスクリーンを見つめた。一瞬、星の輝きが歪んだと思ったら、そこには巨大な隕石の塊と、それを守るように数百隻の艦艇、数百のMSが囲んでいた。

「何だ、あの隕石は?」

 ヨシュア・ライネルは叫んだ。その問いに答えたのは、同じ映像を見ている軌道ステーション「ジュダ」にいるドマスティーだった。

『あれは、デス・ロックスがアステロイド・ベルトで居住区兼軍事基地として使用していたアステロイド・コロニー「エリュテーサン」だ。まさか、あれ自体が空間転移出来るとはな・・・』

 ドマスティーの、呆れた声を漠然と聞きながらも、ヨシュアはすぐに各防衛部隊に命令を伝える。その命令により、再び核兵器が一斉に放たれた。

 前と同じように、デス・ロックスはビーム兵器で迎撃を開始するが、Iフィールドによって守られた核兵器は、何事もなかったかのように目標へ突き進む。しかし、今回は何かが違った。デス・ロックスから放たれたビームは、核兵器ではなく、それを護衛しているファンネルを1基ずつ撃破していたのだ。それに気が付いたときには、迎撃ミサイルと、実弾兵器により核兵器は巨大な火球を生み、周辺の核兵器を誘爆させ、跡形もなく消えた。


 核兵器の爆発による光がスクリーンを埋め尽くしている間に、レーダーと肉眼でも見つける事の出来ない、完璧といっていいほどの遮蔽装置を搭載したMS部隊が、防衛ラインの艦艇の目の前に出現し、艦艇はビーム兵器で貫かれ、爆発し鉄屑へと化す映像が、地球軌道ステーション「ジュダ」にも映されていた。


3.break down
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