Ultimate Justice 第14話 〜燃える宇宙〜
3.break down

EP0044年6月17日 第1防衛ライン URES軍巡洋艦「イワナミ」

 一人の男が、艦長であるキンブル・イナダに声を張り上げた。

「しかし、このような乱戦で核兵器を使用することは、味方に被害を与える可能性もあります。私は認められません!」

 巡洋艦イワナミの副艦長であるその男を、キンブルは座っているキャプテンシートから見下ろしていた。

「副艦長、もう一度だけ聞く。核兵器の使用許可を認めるか?」

 副艦長は、はっきりと首を横に振った。次の瞬間、ブリッジ内は悲鳴で満たされた。キンブルが、常備している拳銃の弾が副艦長の眉間を貫いたからだった。

「皆、落ちつけ!こいつは、反逆罪で死刑した。そうだろ?」

 キンブルは、にやりと不気味な笑みを浮かべていた。その全身から殺気を放っており、ブリッジにいる誰一人、異を唱えることは出来なかった。代理副艦長を、艦長の次に階級が高いものが代行し、キンブルが同じ核兵器使用許可を求めると、間を置かず首を縦に振った。

「照準、外惑星連邦艦艇・・・そうだな、あの一番でかい奴にしろ」

 キンブルがあっさりと口にした言葉に、クルーは再び唖然とした。外惑星連邦とは同盟関係にあり、共にデス・ロックスと戦っているにも関わらず、それを狙えといったのである。誰もが、一瞬動かしていた手を止めた。すると、溜息をつきながらキンブルが再び銃を構える音がブリッジに響いた。クルーは、何も言わずキンブルの指示に従う他なかった。


 「イワナミ」から核兵器が再び放たれた。外惑星連邦の巨大空母「アドミラル級」が、その核兵器に気が付いたのは、それが間近に迫ってからであった。すぐ様、迎撃ミサイルを放ち核ミサイルを撃破した。しかし、あまりにも近くに迫っていた為、その爆発の衝撃により空母は真っ二つになり撃沈した。

「くくくっ、いい様だ。あとは、何度も逃がしたあの船をやれ!」
 
 キンブルが次に目を付けたのは、あの因縁のティエラ共和国の戦艦「ムンド」であった。そして、ゲームを楽しむ子供のように興奮して叫んだ。

「無人機に核兵器を搭載して突っ込ませろ!」

 デス・ロックス部隊の攻撃を受けていたムンドは、既にMS部隊を全機出撃させており、デス・ロックスのMSの攻撃によってビームバリアー装置も破壊されていた。そこへ、URES軍の無人機が近付いてきた時は、援軍だと思い迎撃も何も行わなかった。それが命取りになった。ブリッジの目の前に、無人機が立ったのが、多くのブリッジクルーが見た最後の光景だった。

 その後は、光と熱が彼らの意識を一瞬にして消失させてしまった。そして、その爆発によって、核兵器を搭載した3機も誘爆を起こす。それによって生じた核爆発は、周辺に展開していた外惑星連邦の巡洋艦3隻と、多数のMSを呑みこんだ。 

 相次ぐ主力艦の損失、そして情報の混乱は、防衛ラインの崩壊を急激に加速させた。帰る場所をなくした外惑星連邦の多くのMSはエネルギーが切れ、いとも簡単にノウヘッドの巨大ビームソードによって一刀両断される。あるMSはボールの射撃に掴まり爆発。

 この時、第1防衛ラインで失われていく艦艇、MSのほとんどが外惑星連邦かティエラ共和国の物であるということを知る者は、軌道ステーション「ジュダ」にいる2人以外知る術はなかった。


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